嚆矢(こうし)

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つがえて、引き絞る。
きりりと張った弓弦に、満天の星月夜。永久の眠りに就く星の、終の光を矢摺に乗せて。

放つ。

音も無く空を裂く一矢。
狙い過たず射抜いた星が、長く尾を引いて墜ちる時、凍て付く断末魔は大気圏で燃え、産声と生る。
命尽きた御霊は、天へ昇り星を創る。新たな命を得るには、現に在る星を墜とさねばならぬ。撰ばれし星射手は、その歳の生まれ来る全てを負い、星殺しの業を負って、天に弓引いたのだ。

嘘かまことか、もはや知れぬ。今は昔の伝え語り。
けれどもし、昨日見た星が、今日天に無いのならば。
星は死に、また新たに地上で生まれたのだ。
ゆえに物事の始まりを、鳴り響く矢――嚆矢(こうし)と謂う。
ファンタジー
公開:19/10/13 19:49
嚆矢(こうし/かぶらや)

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。

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