夏季氷

22
13

手回しの氷かき器を古物屋で買った。
普通の氷以外も削れるらしいので、持ち手を提げ、ぶらり真夏の午後を歩く。
打ち水に浮かぶ入道雲。試しに掬ってハンドルを回す。削った傍からさらさら上り、太陽が反射して、俄か天の川が出来た。
公園の蝉の合唱も、音符をつまんで掻いてみる。ミンミン。ジィジィ。ニィニィ。ツクツク。微塵に混ざった鳴き声は、海の波に少し似て、君と遊んだ浜辺の貝が拾いたくなる。
陽炎と夕立を盛った金魚鉢に、雷の火花を振り掛けたところで、虹も添えたいと思い立つが、指を伸ばすには遠過ぎた。
一計して、信号機の変更順を撫でて写し取る。子供の頃、シロップはこれしかなかったな。三角に並ぶ円い光が作る七色。中心の少しずれた白へ、日時計から切り抜いた今日を飾る。
星が光ったら、神社の宵祭りに行こう。
すっかり解けた昼を流して、夜を歩きながら二人で辿ろう。
やがて朝に追い付いたら、逆に回して夜へ戻ろう。
ファンタジー
公開:19/08/05 16:32

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
htpps://www.amazon.co.jp/小石-創樹/e/B07H75YIG8

☆SSGと皆様のお陰で生まれた本たち
ショートショート・アソート
Ver.0~街角のキセキ(※無料お試し版)
Ver.1~フラワリング・ライフ
Ver.2~机上ファンタジア
Ver.3~リトル・リドル

選集
花神の庭

詩集
君に伝えたかったんだ。

いつも本当に、ありがとうございます!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容