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昔々、あるところに三人の兄弟がいた。
彼らはどうしようもないくらい欲にまみれていた。
ある時、長男は言った。
「俺は海が欲しい。この大きな海はすべて俺のものだ」
そう言うと、長男は思いっきり吸い込み、海水を飲み干した。
どうやら彼は海水欲に溺れてしまった様だ。
彼が吸い切った跡には昆布、ワカメ、ホタテ、ナマコ等の海産物は全て乾燥していた。
それを見た次男はこう言った。
「それなら僕はこの太陽が欲しい。この太陽を細かく砕いて家のシャンデリアにするんだ」
最近、次男は日光欲に嵌っているのである。
次男は家から持ってきたハンマーとノミで少しずつ太陽の結晶をコンコンと砕き始めた。彼が砕く度に周囲の光は消え、闇へと変わった。
そして一人、二人の兄から置き去りにされた三男はこう言った。
「おいらはあの月にいるかぐや姫と結婚したいなぁ」
な、なんと、月光欲だと思われていた三男は実は色欲に憑りつかれていた
公開:19/08/06 14:19
更新:19/08/06 14:24

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