ココニイテ

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ニーテは溜息を溢した。戸棚にパンがひとつ。最後の食糧だった。
半分を愛猫のココに。その体は肋骨が浮いている。次の食事をどうするか。少年は答えを出した。
翌日はシネを食べた。
生まれて一度も使わなかった。これからも必要ないだろう。
翌々日はクルナ
更に翌日はマヌケ
使わない言葉を次々食して、最後にオヤスミとアリガトウと互いの名前を残した。

その晩、小屋の戸が叩かれた。開くと青年が立っていて、宿を乞われた。山越えの前に日が落ちてしまったという。
ニーテは青年にココと自分の名を伝え、夕食はオヤスミを振る舞った。
多彩な話題と笑みを絶やさない青年に、ニーテは感情を覚えた。
表す為の言葉はみな食べてしまったけれど、最後がこれで良かったと、朝食にアリガトウを出した。
皿を前に青年は言った。
「僕こそありがとう。これからも宜しく」
ニーテが首を傾げると、「だって」と笑った。
初めに言ってくれただろう?
ファンタジー
公開:19/07/14 18:33
更新:19/07/14 21:10

rantan

読んでくださる方の心の隅に
すこしでも灯れたら幸せです。
よろしくお願いいたします(*´ー`*)

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