伝説の予想屋

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「人が多いなぁ」
ここは6月下旬の阪神競馬場。私は友達のマリコとはぐれてしまった。

「もしもし、お嬢さん」
振り返ると、黒ずくめのオヤジが立っている。

「何か用ですか?」
「宝塚記念の買い目を教えてあげよう」

あーあ、来るんじゃなかった。こんなのに絡まれるなんて。

「1-12、馬連一点。信じる者は救われる」
それだけ言うと姿を消した。

レース直前、やっとマリコと会えた。

「知らないオヤジが話しかけてきた。1-12を買えって」
「どんな感じだった?」
「全身黒い服だった」

「もしかして、伝説の予想屋!」
マリコは驚いている。
「買わないと後悔するよ」

見事に宝塚記念は1-12で決まった。

「やれやれ、今年も無事に終わった」
男は競走馬の姿に戻った。

「俺はレース中に怪我をして、ゴールできなかった」

頭に輪を乗せ、白い羽根を伸ばす。
天馬は空の上へと戻っていった。
その他
公開:19/07/11 00:43
更新:19/07/11 02:26
スクー 女子が嫌いな宝塚記念 おじさん祭り

ろっさ( 大阪府 )

短い物書き。
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