相合傘廃人

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雨がざあざあと打ち付ける街の中。
手には大量の傘を携えている。
僕は日本中から集まってくる相合傘を廃棄する仕事をしている。
相合傘には、それを使ったカップルの感情や思い出が染み込んでいる。それらを傘から完全に引き剥がしてから廃棄するのだ。
依頼主がなぜそれを手放すのかは訊かない。

傘をまっさらな状態に戻すには、専用のはがし液につける。大抵はそれに2~3時間漬けておけば剥がれるけれど、それでもダメなことがある。

その場合は少し手荒だが、傘を振り回して無理やり引き剥がす。これは精神的にも肉体的にもかなり疲れる。

これからの二人が後腐れなく歩めるようにといえど、廃棄しても毎日増える傘には僕も疲れ果てた。

もうやめたい、こんなこと。
容赦ない雨に目もくれず、考えていると
「大丈夫ですか?」
一人の女性が僕に傘を差しだしてきた。


……ああ。今度は僕が、彼女とその傘に振り回される番なのか。
その他
公開:19/07/11 00:08
スク― 相合傘廃人

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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