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もう何日になるだろう。ずっとスコップで地面を掘り続けている。

後輩と吞んだ帰りに若い女の占い師に「引き返しなさい」と言われた事は辛うじて覚えているが、それからの記憶がない。

気がつけばもうずっとスコップで地面を掘り続けている。慣れない道具のせいか左の掌が痛い。ならやめればいいのだろうが、何故だかやめたらいけない気がしている。

ここが何処かはわからないが、不思議と体力は続いている。だから掘り続けている。

「もう十分でしょう」

不意に声がして病院のベッドで目が覚めた。
冷たい無機質な機械が、身体に繋がれた何本もの管を伝って俺を生かすようにピコンピコンと他人事みたいな音を出している。
「目が覚めましたね」
足下の看護師が言った。
「私の忠告を無視するからですよ」
聞き覚えのある声。
「でも頑張りましたね。おかげで延びましたよ、生命線」
左の掌には、抉れたような傷がついていた。
その他
公開:19/07/10 01:05
更新:19/07/20 20:12

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