加奈子の箱

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「昌弘さん、加奈子さんの荷物が届いてるわ。明後日が挙式なのに。気が早い人もいるもんね」
母は玄関の前に置きっ放しだった事をぶつくさ言いながら荷物を昌弘に渡した。

白地に赤の模様の箱
最初はデパートの包装紙に包まれた結婚祝が届いたかと思った。

加奈子とは見合いだ。
母が加奈子を気に入った事もあり、会ってまもなく結婚の日取りが決まった。

箱を見ると伝票が貼ってない。
奇妙だな?と思った時だ。

す…ねぇ…フフフ

子供が何人か笑いながら、何かを話している。

ーー声は箱からだった。


『…お兄さん、加奈子好き?』

『僕たち、加奈子の子だよ』

『でもね…生まれてきてないの。加奈子いらないって』

恐怖で目を閉じたいが目が自分の意思と反して箱を凝視する。包装紙に包まれてると思った箱は木を白く塗ったものだ。
赤いのは…小さい手だ無数の胎児が這ったような…

『ねぇ加奈子の事、まだ好き?』
ホラー
公開:19/03/18 00:10
更新:22/07/28 20:41

さささ ゆゆ( 神奈川 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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