輪ゴムの木

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「これは、輪ゴムが生る木なんだよ」
そんな風に話したのは、植物好きの友人だった。
輪ゴムの生る木? と、疑問形で返すと、彼は嬉しそうに説明を始めた。
「もともとは、生ゴムをつくるのに使われるゴムの木だったんだ。けど、時代が進むにつれて、人間は輪ゴムを大量に消費するようになってきた。その需要に応えるために、人工的に作られたのがこの、輪ゴムの木なんだよ」
「はあ」
反応に困って、一言だけそう言った。
……そんなに人間は輪ゴムを大量消費しているのだろうか。心の中に浮かんだ疑問は、とりあえずしまっておいた。
「で、輪ゴムになるのは果実の部分なんだけど。これ」
指で示した先には、確かに輪ゴムの形をした実がいくつも付いていた。指鉄砲の形をした枝に。
「もう少しで実が爆ぜるぞ」
その直後。

ぷっ。ぷぱぱぱぱ。

輪ゴムの実は、指の形をした枝から次々打ち出されて、ベランダじゅうに飛び散った。
ファンタジー
公開:19/03/18 20:56

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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