七段飾り

10
9

 屋根裏部屋に七段飾りとは、旧家ってのは、流石に桁が違うね。俺はほろ酔いで椅子に踏ん反り返った。
 『実家は金持ちなんだろ? 両親も地元に娘のこんなモノばら撒かれたくねェんじゃね?』
 あの女、青くなって震えてさ。かわいいもんだね。
 で、ご実家の「お雛祭り」にご招待。甘ったるい酒をだらだら呑ませやがって『いつまでちんたらやってんだ! 出すもん出せ!』って凄んでやったら、バタバタ降りていきやがって………
 ん? 目の前に大勢の女? あ! なんだてめえら、被害者の会かよ! って、声も出ねえぞ。

 女達は並んで、七段飾りの人形から首を抜き取っていく。その先端はアイスピックのように尖っている。15人の女に15個の首…
 足の甲を激痛が襲う。声を上げることも身じろぎすることも出来ない。腿、腹、腕、鎖骨、目、そして頭蓋骨。

「さあ、みなさん。飾りつけがすっかり済んだから、雛祭りを始めましょう」
ミステリー・推理
公開:19/03/01 15:17
更新:19/03/01 21:15

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容