ネジの男(の子)

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 息子はネジが好きだ。積み木に色々な凸ネジと凹ネジを埋め込んであげたら、毎日一人でネジネジしているし、「電信柱もネジなの?」とか、「あのビルもネジネジしてるの?」とか聞いてきて、かわいいったらない。
 息子に、「何故ネジが好きなんだい」と聞いてみたら「だってネジはやさしいんだもん」と言う。
「凸も凹も、ちゃんとはまるとうれしそう。ちゃんとはまるネジは、何度くっついたりはなれたりしてもこわれない。パパとママの凸ネジと凹ネジがぴったりだったから、何度ケンカしても仲直りする。ボクはママの凹ネジをクルクル回って外に出てきたから、きっと、ボクとパパはおんなじ形の凸ネジなんだ。親子だね」
 私は言葉に詰まった。大筋間違いではないが…
 この間は天体図鑑を見ながら真剣な顔でこんなことを聞いてきた。
「ねえパパ。太陽系って、太陽をどこからか外そうとしてるの?それともはめようとしてるの?」
 息子は天才だ。
その他
公開:19/04/27 09:55
更新:19/05/28 11:46
シリーズ「の男」

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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