その影を縫いたい

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私の仕事は影縫い、の見習い。

影縫いは産まれて間もない赤ちゃんに、影を縫いつける仕事。影のない明るい人材が求められる昨今、需要は減ってるのが正直な現状だ。

今日初めて仕事を任された私は、親父が見ている中、寝ている赤ちゃんを傷つけないよう慎重に、体と空間の境界に影を縫っていく。ただ、赤ちゃんの動きは予想がつかない。

「ほぎゃ………」
まずいーー!
すると、どこからか、手のひらの影が伸びてきた。赤ちゃんの頬や唇に静かに触れ、落ち着くことを確認すると、急いで作業を続けた。どうやら、親父の影が助けてくれたようだ。

全身の影を縫いつけ終わったのは、作業開始から3時間経過した頃だった。
赤ちゃんの影に触れると指がぴくりと動いた。

「素敵な影をありがとうございました」
夫婦と赤ちゃん、夕日に伸びる影を親父と二人見送った。

私と重なっていた親父の影は、静かに離れた。
ファンタジー
公開:18/12/23 23:29
更新:18/12/24 06:59

イチフジ( 地球 )

マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。

とりあえず、100話と、お気に入りにはいる作品を作ることを目標にする

78 蟹座

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