蟹の目

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海辺に散らばった骨をかき抱き
どうにか一つ処にまとめて扇を作った。

一度折れた骨は強いなどと聞いた事はあるが
狂瀾怒濤の波を掻い潜った骨で作られたその扇もまた、強くしなやかで。

荒波を引き起こす台風の目であった貴方もすっかり丸くなり
いつの間にか扇の要となっていた。

扇は根っこでは繋がっているので、
大きく半円に広がって、解けそうになっても、
すぐに再び
寄り添って、重なって、同じ懐に入ったりする。

そうして骨片たちは長い時間をかけ、漸く本来の形を取り戻したかに見えはしたが、
肝心要の蟹の目が、ふいにポロリとその身を外して何処かへ逝ってしまった。

再び人の世から零れ落ちた蟹の目よ。

私たちは今も、その無垢な眼を思い出し、
ぐるぐると広がったり重なったりしながら、根っこで繋がっているふりをして
寄り添って、重なって、同じ懐に入ったりしている。

さも貴方がまだ此岸に居るように。
その他
公開:18/12/24 19:39

椿あやか( 猫町。 )

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