アイスダンス

賑やかな街から離れ、彼に連れてこられたのは雪深い森の中。
彼は言葉の遊び人。
『さむゐ？旧だったかな』
「ううん」
内心は不満。
真っ暗な森を抜けると、氷の張った池へと出た。
スケート靴を履く彼。ぱちんと指が鳴り、音楽が鳴る。彼が滑り出す。
「あっ」
滑走跡が光を放っている。☆マークや♡マークが無表情な氷上に浮かぶ。華麗なステップに豪快なジャンプ。氷の鏡に光輝く私の顔が映る。
演奏が終わり、彼はシャンパンを開けた。
『メリークリスマス』
それを合図に、モミの木が美しいツリーに変身し、森中がライトアップされた。音楽を演奏していたのは森の動物たち。
彼からグラスをもらう。黄金色のシャンパンが注がれ、もも色のアイスが浮かんだ。
『いつも感じたことを漢字で隠してしまうけど、今日はちゃんと伝わる仮名？』
照れくさそうな彼。
『乾杯、お姫様。愛情込め本気で言葉と舞う。聖夜こと永遠の今夜は絶対、返さん』