時計

「またこいつは…」

どうやら腕時計が5分遅れていることに苛立っているようだ。

「時計が遅れるなんてそんな珍しいことじゃないだろ？」

「そりゃ一般的な時計なら良くある話だけどな、コイツは違うんだよ」


自慢気に見せてきた時計は、正直言って平凡などこにでも売ってそうな時計だ。

「どこが特別なんだ？ブランド物か？」

オレがそう言うと、不敵な笑みを浮かべて友人は言った。

「コイツはな、賢い時計なんだよ」

「賢い時計？なんだそれ？」

「時計って正確な時間を刻まないと困る物だろ？だからコイツは選ばれし賢い時計なんだよ」

この新しく発売された時計は人間のように性格があり、少しバカな方が可愛いと人気な天然時計と正確さが売りの賢い時計の2種類が販売されているらしい。


「でもその話だとお前の時計は賢いから正確なんじゃないのか？」

「稀にいるんだよ。賢いのに抜けてる隠れ天然が」