白磁のジュリエット

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「なんだか、ロミオとジュリエットみたいね」

そう言って、彼女は無菌室のビニール越しにふわりと笑った。
彼女が原因不明の奇病に侵されているとわかったのは、ほんの数日前のことだった。すぐに個別のサナトリウムに隔離され、以来、会えるのは許可のある人間のみ、このビニール越しに限られた。
彼女の病は、深刻だった。
僕が訪れるたび、彼女の豊かな薄茶の髪は色素が抜け落ち、美しい白磁の肌は、石膏のような不透過の白へと姿を変えていった。


「やあ、僕のジュリエット。今日は君にプレゼントがあるんだ」
そう言って僕が差し出したものを見て、ビニール越しの彼女は、もう色づかないはずの頬を僅かに上気させて、うっすらと笑んだ。
 
間もなく、彼女は亡くなった。
最後の瞬間は、僕の贈った純白のドレスを身に纏って、幸せそうに微笑んでいたという。

その日、サナトリウムの建つ高原では、青い空の下、真夏の雪が降りそそいだ。
その他
公開:18/09/24 13:28
スクー 塀の中の白い恋人

ゆた

高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。

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