ほくろの人

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その人の前を通りかかった時、黒いスミのようなものがはねた気がしたのだ。

私の体にほくろがやってきた。それは右腕の辺りにポツンと、ある日突然現れた。ほくろなんて、出来たり消えたりするものだし、気にすることはないのだけど、それは見る度にすこしずつ大きく膨らんでいくようであり、何か悪い病気ではないかと不安を覚えた。
そうして右腕の半分を覆う痣のように、大きく膨らみきったほくろは、ある日パチンと弾け、無数の小さなほくろが飛び散った。飛び散ったほくろは私の体にはねて、定着し、また成長を始めた。
いつのまにか私の体はほくろに侵食され、もう、ほくろのできる隙間がないぐらいになっていた。道行く人が気味悪そうにこちらを見る。

その時、膨らみきった全身のほくろが一気にパアァンと弾けた。無数に飛び散ったほくろが、通行人の体にはねた。

無数のほくろになった私は成長と分裂を続け、今も増殖している。
その他
公開:18/09/19 19:23
更新:18/09/24 02:07

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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