SNSの海

　つま先からそっと、ぽしゃり。海の中はひんやり冷たく、でもそれが心地よい。水面にぽっかり浮かんでまわりを眺めると、様々な感情が流れてくるのが見える。嬉しい、悲しい、悔しい、楽しい。私はそれらを時に拾い、時に流し、沖へと進む。
　ずいぶんと遠くまで来てしまったようだ。足元では魚たちが楽しげに泳いでいる。ちゃぷん。水中深くへ潜ってみた。
　海の中は、より多くの想いが渦巻いていて、私はそれに圧倒されそうになる。流れに乗ると、今まで知らなかった世界を垣間見たり、懐かしい思いに再会したりした。時には傷ついたり、ものさみしい気分になることもあった。励まされ、勇気付けられ、私は進む。
　海の中に慣れた頃、ふと顔を上げ、水面を見た。外の世界は時に美しく彩られ、時に汚く曇っていて、くるくると姿を変えているように見えた。