流しそうめん、したいな。
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男は焦っていた。帰ってきたから。この部屋の住人が。男は入念に調べたはずだった。平日の昼間、この部屋の住人は家を空ける。必ず。この一年間調べたのだ。この部屋の住人が会社勤めだと言うこと、そして出勤態度は真面目で毎朝同じ時間に部屋を出て、同じ時間に帰ってくるということ。でも作戦実行日の今日に限って昼に帰ってきたのだ。男はとりあえず隠れたクローゼットの中で逡巡する。どうするべきか?ふと思う。とても暑い日だった。「流しそうめん、したいな。」気がついた時には口に出していた。クローゼットの扉が突然開く。部屋には誰もいない。テーブルの上には流しそうめんのセット。ぐるぐる回るそうめん。男は我を失い、そうめんを食べた。これは現実か?そんなことは男にはどうでも良かった。少年時代の思い出。昨日の最後のニュース。そう、夏の終わりのハーモニー。この世に安全地帯などない。男は悟った。
SF
公開:26/08/31 13:55
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時折、頭をかすめる妄想のカケラを集めて、短いお話を書いています。コメントは励みになります。とりあえず過去作の改訂版を中心に新作も載せていきます。よろしくお願いします。
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