ステンレス

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会社の先輩はとても冷たい人だった。
「本当に無能だ。給料泥棒だよ」
今の御時世完全アウトな暴言を社内で平気で使っている。
当然社員全員から嫌われていた。
ある日、外回りをしていた私にかつて先輩の同僚だったという人から声をかけられた。  
「この前あいつと外回りしてる時に見かけてね。こっぴどく叱られてたね」
「はい、人の心がない冷たい人です」
すると元同僚の人は優しくこう言った。
「あいつの心はステンレスでね。水筒も冷たいのをいれると保冷、温かいのをいれると保温だろ。あいつ上司からすごく冷たくされた過去があってね。それ以来ずっと保冷なんだ」
「ならどうすれば?」
「簡単さ今度は保温すればいい」
その日の夕方、残業で忙しそうな先輩にぼくは勇気を出して声をかけた。周りは驚いている。
「手伝います」
先輩は目を丸くして私を見る。
「当たり前だ」
しかしその言い方は少しだけ温かさが含まれていた。
その他
公開:26/08/17 10:45

セイロンティー( 鹿児島 )

初めまして。昔から小説を書くのが好きでした。ショートショートの魅力に取り憑かれ、日々ネタ探しに奔走する毎日です。
小説のコンセプトは【ドアノブの静電気くらいの刺激を貴方に】です。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

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