名画でショート100『十字架を運ぶキリスト』(ヨアヒム・ブーケラール)

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古代から中世おいて、刑罰はエンタメであり、ある意味ではお祭りだった。
若い男性が十字架を背負わされながら、ゴルゴタの丘を歩かされている。
兵士たちは義務として付き添い、先導する。武器を持ち、その表情には緊迫感が満ちている。
だが、周りにる民衆のほとんどは野次馬だ。罪人がどのような人生を歩み、何という罪を犯したのか知らない。興味もない。
罪人は自らを磔にする十字架を、背負わされていた。
ひとりの女性がショックのあまり、地面に倒れた。彼女は罪人のことをよく知っており、敬愛していた。
罪人が、その女性に目線を向ける。
ほんのわずかな理解者。
その理解者のために、罪人は死んでいく。
周囲に群がる野次馬など、ひとりも目に入らなかった。
その他
公開:26/03/28 08:35

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