名画でショート105『ソドムを去るロトとその家族』(ヤーコプ・ヨルダーンス)

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老人は一抹の不安を抱えながらも、この世に天国が存在することを初めて知った。
あでやかな衣装を着た若い女性たち。天使のコスプレをした抜群の美女。高級なお酒に美味しい料理。
老人は顔を赤らめながら、いつまでもここにいたいと思った。
いままで農夫として、コツコツと貯めてきたお金がある。生涯の最後ぐらい、多少の奮発をして、何が悪いのか。
さあ、もうひとはしゃぎ。
そう思っていたら、しかめっつらをした老妻が迎えにやってきた。天使のコスプレをした美女が、老人を玄関まで届ける。老人はこの世の天国を名残惜しそうに振り向くが、天使が老人のひじをつかみ、強引に外へと連れ出す。
老妻は涙を流していた。その老妻を横目に、美女が老人に話しかける。
「もう懐もさみしいんでしょ? お金がたまったら、またご来店ください。それまで生きていたら」
その他
公開:26/05/02 08:56

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