振りむくな!!ヤツが来る

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午後2時。冷房があまり効かないオフィスでちょっと眠たくなってきた頃、後ろから声をかけられた。
「失礼します、佐伯さん」
はっ!ウツラウツラしそうになったのがバレたか?振りむこうとした瞬間、向かいの席の小久保と目が合った。
「佐伯さん、ダメだ振りむいちゃ!振り向いたらヤツが来るぞ」
小さいがはっきりとした声で小久保が言う。「後ろから聞こえるのは悪魔のささやきです、無視無視」
そのあまりの迫力に身動きが取れなくなっていると、またもや後ろから声が。

「佐伯さ~ん、ちょっとぉ」
「ダメです、佐伯さん、絶対ダメ」
「さ・え・き・さーーん」
「ダイエット中ですよね!」

「え~い、うるさい!」
隣の席のお局様がキレた。「さっさと受け取りなさい、お中元のクッキー。あなたが受け取らないと他の人にも配れないでしょっ!」
「そうですよ佐伯さん。もう。ここに置きますね」

振り向かなくてもオヤツが来ちゃった。
その他
公開:18/07/21 20:10
更新:18/07/21 20:38

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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