贈る言葉

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彼が私の26の誕生日に衣装ケースばりの大きな箱を持ってきた。
「ま、まあ開けて見てよ」やけに緊張した様子で私を促す。
「ありがとう。なにかな」
包装紙もリボンもない箱の蓋を取ると、一回り小さい箱が収まっていた。
その箱を開けてもまた箱が入っていて、マトリョシカのようにどんどん新しい箱が出てきた。

最後の箱は、底の方に「い」と書いてあった。
驚いて他の箱を取り出すとどれも字が書いてあった。びっくりマークも出てきた。最初に開けた、一番大きな箱は「た」。箱を大きい方から順に並べる。

「たんじょうびおめでとう!おれとけっこんしてください」

「26個目」と、彼は「い」の箱より小さな箱を差し出した。蓋が貝のように開く箱だ。彼が、ち、と箱を開けば、銀の指輪が光った。薬指にぴったりはまる。

ワンルームの部屋は彼のプロポーズで埋まってしまった。
返事はプロポーズから文字を拝借した。「おっけい」
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公開:18/03/09 20:22
月の文学館

砂塵

読んでいただきありがとうございます。
話のおもしろさ云々はひとまず置いといて、とりあえず一本完結させることを重視して書いてます。
朗読ラジオ「月の音色リスナー」です(^o^)/
低浮上中なのでコメント返し遅れるかもですが必ずお返しします。

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