物書き失踪事件

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 物書きというのは時として、何の前触れもなく消える、という事があるものだ。そしてそういう時、他の物書きは「なぜ」と嘆くのである。もしかして自分が書いた感想のせいかも、などと余分な心配をする者まで現れ、そんな事は無いよと別の物書きが慰めるところまでが、お決まりのパターンなのである。

 しかしある日の失踪事件の時は、不思議なほど誰も騒ぐ者がいなかった。彼……仮にGとするが……Gが消えた事に気が付く人間が一人もいない……はずは無いのだが、つい昨日まで仲良くラーメンの好みなどをコメントし合っていた者たちですら、Gなど初めからいなかったかのような様子である事が、私には不気味に思えた。

 今朝の事だ。Gらしき人物の、コメントが残されているのを見た。それは、とある寂しいアカウントの片隅で。
「疲れました」……それが、Gの最後の言葉であった。そんなGを慰めていたのは、「恐怖」という名の人であった。 
その他
公開:21/09/15 11:25
更新:21/09/15 11:28
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むらさき毒きのこ( 東京のはしっこ )

ネコが好きです。

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