夢の中の出来事

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 幅一メートルほどの石畳が、丘に向かって続いている。両脇には、レンガ造りの建物がひしめいていて、木の扉は固く閉ざされている。
 視界は全てがセピア色であり、空は桃色で、どこを見ても憂鬱である。
 早くこの町から出たいという気持ち、どこに行けばいいのか分からない不安、閉塞感のある建物が嫌で、とにかく空に近づこうと地平線の向こうを目指して歩いた。すると両脇にあった建物が途切れて、踊り場に出た。そこは見晴らしのいい場所で、尾の長い、黒い大きな翼竜がたくさん飛ぶのが見えた。
 私は翼竜となり、群れに加わった。
 セピア色の町は遠ざかってゆき、目の前はただ、白かった。

 目が覚めるとそこは薄暗い六畳二間の自宅であり、私は汗だくであった。すだれの隙間がキラキラと揺れる。
 私はまた行き損ねたのだ。あの空の向こう側にある場所に。あの向こう側にさえ行けるのならば、他には何もいらない……のかもしれない。
ファンタジー
公開:21/07/26 11:48
更新:21/07/26 11:51
夢 閉塞感 空を飛ぶ

むらさき毒きのこ( 東京のはしっこ )

ネコが好きです。

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