六十六段目の階段

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 この寺の階段は全六十五段だけど、ある日の夕暮れ時には六十六段になる。もし六十六段目を踏んでしまうと、あの世の住人が現れて引っ張られるぞ。

 怪談話の影響で、ある寺の階段を夕方に上ろうとする人はいなかった。しかし、とある青年が六十六段目を目当てに訪れた。

 青年は悩んだ。怪談話の“ある日”が日を指すのか何かの行事後なのか不明だったからだ。
 こういった類は死後に踏めるというが、過去の事例も残されているから、そうでないのは分かる。

 青年は何度か思い当たる“ある日”を試した。
 一月後、ようやく六十六段目に到達した。
 細かい理由はあるだろうが、九月の彼岸であった。

 階段を登ると、青年の傍に無数の小鬼が寄ってきた。

「今日この時より、冥府への通路を閉じさせてもらう」
 青年は術を駆使して入り口を完全に封印した。

 彼はあの世と関わりある怪談を封印する術師であった。
ホラー
公開:20/10/24 15:51
あの世の入り口 小鬼 怪談話 増える階段

赤星 治

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