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 あの頃から、何かが変わっただろうか。

 当時クズだった私は、5年経った今でも何も変わらない。歯車は狂い続けたままだ。何なら本当はこういう生き方が正しいんじゃないかと思うこともあるけれど、目の前をせかせかと歩くサラリーマンの群れがそれを視覚的に否定する。

 みんなそんなに急いでどこへ向かうのだろうか。世間から見れば私は社会不適合者なんだろうけれど、私からすれば普通を求めて身を削る一般人のほうが不気味だ。普通に学校に行って、普通に就職して、最後は普通に死んでいく──そんな決められた人生のために頑張るなんて器用なことは、

「……私にはできない」
「それはおれも一緒だよ」

 自虐気味に呟いた私の隣でキョウくんが笑っている。
 どこか懐かしくて安心する笑顔。ここで私が何か話せば、優しい彼はきっと心配してくれるんだろう。

 それが何よりも怖くて、視線を感じたまま私は前を見続けていた。
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公開:20/08/14 08:34

久寓

(玖寓→久寓に変えました)

読むのが好きです。
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