夢人駅

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 気づくと、見知らぬ駅にいた。僕のほかに誰もいない。
 「無人駅か」
 そう、呟いたとき、背後で声がした。
 「ここは、“夢人駅”さ」
 驚いて振り向くと、黒猫が僕を見据えている。黒猫は、視線を駅名標に向ける。

 “夢人駅”

 「ゆ、ゆめびと、えき?」
 「ちがう、ちがう。“むじんえき”。ここは、夢に迷った人が辿り着く駅さ。あんたもそうだろ?」
 「…うん。僕の夢は、現実的じゃないというか…できるかわかんないというか…」

 
 「なにを迷う必要がある?」
 黒猫が、鋭い目で僕を見つめる。
 「だって、簡単なことじゃないか。やりたいなら、やればいい」
 「僕なんかにできるかな…」
 「さぁね。そんなこと知らないよ。けど、やってみたら、わかるんじゃないか?」
 「……僕、やってみようかな」




 気づくと、いつもの駅だった。
 今から僕は、“夢に迷った人”じゃなくて、“夢を追う人”。
その他
公開:20/06/25 00:00
更新:20/06/24 00:01
kuzutosiさんへ お誕生日おめでとう 夢人駅と書いて むじんえき

すみれ( 群馬県 )

書くこと、読むことが大好きな大学4年生です。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』

コメントは、ゆっくり読ませていただいています。

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