夢人駅
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気づくと、見知らぬ駅にいた。僕のほかに誰もいない。
「無人駅か」
そう、呟いたとき、背後で声がした。
「ここは、“夢人駅”さ」
驚いて振り向くと、黒猫が僕を見据えている。黒猫は、視線を駅名標に向ける。
“夢人駅”
「ゆ、ゆめびと、えき?」
「ちがう、ちがう。“むじんえき”。ここは、夢に迷った人が辿り着く駅さ。あんたもそうだろ?」
「…うん。僕の夢は、現実的じゃないというか…できるかわかんないというか…」
「なにを迷う必要がある?」
黒猫が、鋭い目で僕を見つめる。
「だって、簡単なことじゃないか。やりたいなら、やればいい」
「僕なんかにできるかな…」
「さぁね。そんなこと知らないよ。けど、やってみたら、わかるんじゃないか?」
「……僕、やってみようかな」
気づくと、いつもの駅だった。
今から僕は、“夢に迷った人”じゃなくて、“夢を追う人”。
「無人駅か」
そう、呟いたとき、背後で声がした。
「ここは、“夢人駅”さ」
驚いて振り向くと、黒猫が僕を見据えている。黒猫は、視線を駅名標に向ける。
“夢人駅”
「ゆ、ゆめびと、えき?」
「ちがう、ちがう。“むじんえき”。ここは、夢に迷った人が辿り着く駅さ。あんたもそうだろ?」
「…うん。僕の夢は、現実的じゃないというか…できるかわかんないというか…」
「なにを迷う必要がある?」
黒猫が、鋭い目で僕を見つめる。
「だって、簡単なことじゃないか。やりたいなら、やればいい」
「僕なんかにできるかな…」
「さぁね。そんなこと知らないよ。けど、やってみたら、わかるんじゃないか?」
「……僕、やってみようかな」
気づくと、いつもの駅だった。
今から僕は、“夢に迷った人”じゃなくて、“夢を追う人”。
その他
公開:20/06/25 00:00
更新:20/06/24 00:01
更新:20/06/24 00:01
kuzutosiさんへ
お誕生日おめでとう
夢人駅と書いて
むじんえき
書くこと、読むことが大好きな社会人1年生。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』
note https://note.com/sumire_ssg
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