書店の奥の診療所

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 書店の奥に、栞で作られた十字マークを掲げたドアがあった。
 中から父親と出てきた女の子。
「おくすり、『ぐりとぐら』だって!」
 好奇心でドアを開けるとまるで病院。立ち尽くす私を見て受付の女性が、
「初診の方?」
と、声をかけてきた。頷くと、
「こちらにご記入下さい」
と、問診票を渡された。しかし項目は「好きな作家」「苦手な作家」等、本の事ばかり。
 書き終え、提出したら程なくして呼ばれた。診察室に入ると、白衣を着たコオロギに似た虫がいた。
「どうぞ、おかけ下さい」
 虫の前におずおずと座った。虫は問診票を見ながら、
「なるほど。最近、本を読みきれない」
「はぁ……」
「集中力が切れやすいんですな。疲れでしょう。しばらく、本は読める時に読める所を読めるだけ読んで下さい。欲張らないで」
「はい……」
「では、お大事に」
 私は書店に戻った。
 あぁ、あれは「本の虫」だったかと合点がいった。
ファンタジー
公開:20/05/24 14:21
更新:20/05/24 22:49

丸目葉湖

丸目葉湖(まるめようこ)と申します。

ゆるゆると淡々と書いていきたいと思っています。
コメント欄は見ないようにしています。
もし作品を気に入ってくださいましたら、星をくださると嬉しいです。

250作品を目指して書いてます。
作文用紙250枚分。つまり長編の長さです。
今、50作品以上書けました。



 

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