幽霊の笑い声

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 恨めしい。こう呟き続けどのくらいたったか。気が付いたら恨めしい男の顔も名前も、だんだん曖昧になってきた。あの男はどこ? 人に尋ねようにも生きている人に私は見えない。たまに目の合う人がいても、悲鳴をあげて逃げて行く。
「櫻子、ハロー」
 いつの間にか、エミリがいた。
「さっきの悲鳴、櫻子見えたのかな」
「たぶん」
「黒髪ロングって怖いかもねー。ショートにすれば?」
「ロング派です」
「あと白ワンピって鉄板だけど、幽霊味が強い」
「幽霊だからね」
「ピンクにしない? それ着て一緒に成仏しよ」
「え?」
「櫻子、ここに何年いる?」
「わからない……」
「その男、たぶんもう死んでるよ」
「……」
「だからサクッと成仏してさ、来世を生きよ?」
 エミリの目に、涙。
 残るも進むも、お互い一人じゃ怖いから。
「じゃぁ、エミリ髪切って」
「任せて!」
 私達の笑い声、風に乗って誰かに届くといいな。
その他
公開:20/05/20 23:25
更新:20/05/20 23:26

丸目葉湖

丸目葉湖(まるめようこ)と申します。

ゆるゆると淡々と書いていきたいと思っています。
コメント欄は見ないようにしています。
もし作品を気に入ってくださいましたら、星をくださると嬉しいです。

250作品を目指して書いてます。
作文用紙250枚分。つまり長編の長さです。
今、50作品以上書けました。



 

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