光の妖精(4)

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(承前)
「ここでずうっと待っていたのか。こんなにも遅くなってしまって、赦しておくれ」彼は呼びかけながら、妖精の姿を探した。しかし、どこにも見えない。その代わり、斜めに低く射し込む木漏れ陽が、満天の星たちのように輝いている。

再び声が木霊する。「50年はあっという間だね…」「妖精は歳を取らないんだ…」「でも君はもう子供ではないから…」「妖精の姿が君からは見えないんだよ…」
それから「君がいちばん大切にしているという本を持ってきたのかい…」そう聞こえたように思われたので、彼は本を高く掲げて言った。「もちろん、ここにある。どうか受け取ってくれ」

すると、革の表紙の本が、ふわり…と動いて彼の手を離れる感触がした。その瞬間、小さな白い両手の先がわずかに見えた。幽かに微笑む透明な横顔もまた…。
「どうも、ありがとう…君は、約束を守ってくれたんだね…」妖精の唇が動いて彼にそう伝えている。(つづく)
ファンタジー
公開:20/01/28 22:30
更新:20/01/30 08:47
昔話

白ねこのため息( あちらこちらにいます )



2019年9月14日から参加いたしました。
しみじみとした後味や不思議な余韻が残る作品を目指しています。
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