車窓

7
7

景色を眺めていたら、そんなにジロジロと見ないで下さいと車窓が言ってきたから、僕は君を見ているんじゃない、君の奥の景色を見ているんだと答えた。
だから嫌なんです、なんだか心の奥をジロジロと見られているみたいで、と車窓が言うから、なるほどこの景色は車窓の心の奥なのかと思った。そう考えると確かに、他人にジロジロ見られたら気分の良いものではないから、じゃあ振り返って背中を向けてみたらどうだろうと提案した。そうすれば、車窓は僕に背を向けることができる。
どひゃあー、なんですか、これは。車窓はこれまで電車内しか見ていなかったらしく、車窓から見える景色の美しさに驚き声をあげた。前を向こうが後ろを向こうが、どっちにしても窓は透明だから、僕も景色を見ることができる。
初めて見る自分の心の奥に感動している車窓は、僕にこう言った。
こんなにきれいなものがあったなんて、あなたも振り返ってみたらどうですか。
ファンタジー
公開:20/04/06 04:15

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容