同期テロ-36

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「やっと喋れる。元気だったか、河守?」
359日目の邂逅を、中間は純粋に愉しむ風だった。中間にすれば、これはゲーム。2人の人間を手に掛けた事も、障害物の排除か、シナリオの調整でしかないのだ。
「痛むだろう、可哀想に」
脈を取る力加減で、河守の手首を辿る。縫合の結紮にも近い動きで。指が通過する後から、じくじく流れた血は止まり、傷も痛みも消えた。
「切断面を消して、組織を癒合しておく。帰ったら、一応病院に行け」
口に押し込まれた錠剤から、ひんやりした甘味が広がる。医療用のブドウ糖。何処から見ていたか知らないが、手回しの良い事だ。
「消した2人も、元に戻せ」
「還元した物質は、完全に消滅するから、再時化出来ない。加速や遅行ならともかく、巻き戻すのは不可能だ」
ペンや会社は戻したくせに。反論しようにも、精も根も尽き果てていた。
「詫びの印に、ボーナスをやる」
耳朶を挟んだ指が、感触ごと遠くなった。
SF
公開:19/10/02 18:15
更新:19/10/02 19:30

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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☆SSGと皆様のお陰で生まれた本たち
ショートショート・アソート
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Ver.1~フラワリング・ライフ
Ver.2~机上ファンタジア
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選集
花神の庭

詩集
君に伝えたかったんだ。

いつも本当に、ありがとうございます!

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