狐の氷売り

4
7

昔、私は、お狐様に会ったことがある
「お狐様から氷を買うと、恋が実るよ」
祖母から聞いていたお伽噺は、本当だったのだ。
お狐様は優しく、代金を忘れて慌てる私にも、にっこり笑って、綺麗な青い氷を切ってくれた。

大切に氷を持ち帰り、伝承通り、氷を月の光で溶かした。
朝は何も口にせず、思いを伝える前に、その青い氷水を少し含んだ。

結局私は玉砕し、当時は沢山泣いたものだ。
そして、今日、友人と初恋の彼が結婚する。

お祝いの言葉をかけた時、彼女は少し恥ずかしそうに言った。
「実はね、ちょっといい油揚げを持って行って、お狐様から氷を買ったの、桜色だったわ。それでね・・」
ああ、そうだ、たしか祖母は続けてこう言っていた。
「お狐様は、お揚げが大好き。それと、人間の涙ね。意地悪狐がでないよう、美味しいお揚げを差しあげましょう」

引き出物の油揚げは美味しく、酒がすすんで、なぜだか涙がでてきた。
青春
公開:19/09/22 13:00

はるぽこ( 東京 )

読んでいただき、ありがとうございます。

文章を書くのは、好きと同じくらい不安です。
独りよがりにならないようにしたいです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容