くま(第十二回『ハートのエース・その2』)
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おめでとう!
その言葉から始まるメッセージによれば、ロビーに預けてある荷物を、遠山さくらの名前で受け取ればゴールだという。
「はい、確かにお預かりしております。」
一度奥へと下がった仲居さんが、どうぞこちらですと言って持って来たのは、娘が抱きかかえているのと全く同じクマだった。ただし、今度のクマは、インバネスコートを身にまとい、鹿撃ち帽を頭にのせている。
見事、名探偵の誕生ということらしい。
クマが二つに増えるという、娘にとっては突然の僥倖にあい、うれしいやらびっくりするやらで、ああ、これが世にいう目を白黒させるというやつか、いいものを見たなあ、などと思いながら、ふと目を向ければ、これあるであろうことを予期していたと思われる、仲居さんのあたたかな視線と目が合う。
にっこりとほほ笑む仲居さんに、いいタイミングだと思い聞いてみる。
「このクマを預けたのは誰でしたか?」
その言葉から始まるメッセージによれば、ロビーに預けてある荷物を、遠山さくらの名前で受け取ればゴールだという。
「はい、確かにお預かりしております。」
一度奥へと下がった仲居さんが、どうぞこちらですと言って持って来たのは、娘が抱きかかえているのと全く同じクマだった。ただし、今度のクマは、インバネスコートを身にまとい、鹿撃ち帽を頭にのせている。
見事、名探偵の誕生ということらしい。
クマが二つに増えるという、娘にとっては突然の僥倖にあい、うれしいやらびっくりするやらで、ああ、これが世にいう目を白黒させるというやつか、いいものを見たなあ、などと思いながら、ふと目を向ければ、これあるであろうことを予期していたと思われる、仲居さんのあたたかな視線と目が合う。
にっこりとほほ笑む仲居さんに、いいタイミングだと思い聞いてみる。
「このクマを預けたのは誰でしたか?」
ミステリー・推理
公開:19/08/31 14:49
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