くま(第三回『プロローグ・その3』)

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「よーし、さくらちゃんとお母さんは、私と同じ部屋でお泊りするよ。一緒にお風呂にもいこうね。」

さらに、こちらに向かって。

「みずほ、今夜は寝かさないよ。」

「はいはい、楽しそうで何よりです。」

ほどなく瀬戸内君が仲居さんを伴って戻ってきて、それぞれの部屋へと案内された。

ここは瀬戸内君の定宿でもあるらしい。部屋番号に旧暦の月の名前が使われていて、私たちの部屋は卯月、男性陣は皐月となっていた。12月がどうなっているのかちょっと気になってしまう。

中は和室の八畳間、けっこう広くてくつろげそう。長方形のテーブル、座椅子と座布団、茶器の入った丸い桶に、電気ポットなのがちょっとうれしい。テレビがあって、冷蔵庫があって、もちろん窓辺には小さなテーブルと椅子、スタンダードでとてもよろしい。

飾ってある絵に、なんで菖蒲なんだろう、と、ちょっと首をかしげてみたりもしてみる。
ミステリー・推理
公開:19/08/28 08:09

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