翼をください

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子どもの頃の夢は鳥になることだった。大空を自由に羽ばたく鳥たち。その姿に憧れ、魅入った。けれども夢が叶うことはなかった。私は人間で、鳥にはなれない。
ただ近づくことはできる。私は少しでも鳥に近づこうと航空について学んだ。全ての手本は鳥たちだった。彼らの飛び方を研究し鳥のように自由に飛ぶことのできる飛行機を開発した。
私は巨万の富を得た。全ては鳥たちのおかげだった。
しかし、どんなに近づくことはできても、憧れの鳥になることはできない。その現実に直面するとき、私はショッピングに出かける。気に入った店に入り、店員の薦める商品を買う。
それがどんなに高価なものでも、一見必要のなさそうなものでも気にしない。薦められるがままに買う。それが重要なのだ。その時に店員が売りたい商品を私は買った。

そして今、私は皆にこう呼ばれている。
あの人はとてもいい”カモ”だと。
私は少しだけ飛ぶ翼を手に入れた。
その他
公開:19/06/12 11:01

もみ

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