空席

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ボクは、開かずの金庫を開ける仕事をしている。

今日はテレビの企画で、ある洋館に1世紀近く放置されている金庫を開ける依頼だった。

だが金庫の中身は、西洋の古い少女人形が一体のみで他は無し。

お宝期待の関係者は落胆。プラン練り直しで退出。ボクも一緒に出ようと踵を返したその時。


「もうひとり入れるのよ」


声がした。ボクは驚いて振り返った。たぶん女の子の声。でもそんな子どこにも…

いやいる。その子は、ボクのすぐ目の前にいて、透き通る青い瞳をボクに向けて…


「もうひとり入れるのよ」


間違いない。この人形がボクに…


「もうひとり入れるのよ」


呼んでいる…もうひとり、ってまさか?


「もうひとり入れるのよ」


ボクのことを…ボクを


「もうひとり入れるのよ」


やめてくれェ!


「もうひとり入れるのよ」










ガチャンッ!!






「ね…」
その他
公開:19/07/12 11:55

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