猩猩緋

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緋色の淀みの生温い感覚だけがある。
それ以前の私の記憶は、喪失したらしい。

数年前、身代金目的に攫った娘の事件が記事で賑やかせた。
オカルトめいた話によれば、棺の中、血溜まりにいた娘を保護。
父は何も言いたがらないが、それは私の身に起きたことなのは周囲の反応から容易に想像がついた。
トラウマにより、喪失した記憶を今夜取り戻す。

深夜、バリケードテープを潜り、洋館の地下へ侵入する。
地下の奥の暗闇の先を、ライトが父を照らした。
「思い出したか?」と問うと、銃口を私に向けた。
全身の血が沸騰するような衝撃を覚え、「ああ……またなの?」と、私の口から溢れた。

ああ、そうだ。
この強欲な男は、余命幾ばくもない娘のため。
吸血鬼の私から心臓を奪い、娘に与えたのだ。
見た目だけは娘のまま、心臓を核として再生した私は、異質の存在。
父の銃が、私の頭を撃ち抜いた記憶が蘇る。
そして、銃声が鳴った。
ホラー
公開:19/07/11 23:01
更新:19/07/12 20:47
吸血鬼 移植 ループ

河沿 桜子( 岡山県 )

ただ今、ショートショートガーデンを
たまーにアップします(笑)
執筆の修行中デース(  ・᷄ὢ・᷅  )

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