エスカレーター

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「はぁー、年は取りたくないものだね。」

「あらあら、どうかしましたか?」

「若い時分は、駅で、絶対にエスカレーターなど使うまいと、あえて階段を上ったものだけれど、今じゃ、自然と吸い寄せられていくからね、いやもう、なんなら、下り用も設置してほしいくらいで。」

「あー私にも気持ち、わかっちゃいます、ヤバいかもですね。」

「わははは、そうだぞ、ヤバいぞ。」

「もうっ、喜びすぎです!」

「おっと失敬、実は、そのエスカレーターで、ちょっとイイことがあって、浮かれてしまった。」

「良いこともあるんですか?」

「中程で正面から来た女性と目があって、それがここいらでは見当たらない、楚々としたすっごい美人さんでな、思わず道を譲ってしまったんだが、すれ違い様に至近距離で、にこりと会釈なんてされたものだから、もう。」

「ははーん、やっぱり階段を上らないとダメですね、13段ほど御用意しますよ。」
その他
公開:19/07/09 00:56
更新:19/07/09 23:00
このネタ、もっと違う使い方を 模索すべきかも? とか思ったけれど、折角書いたし 投稿しちゃった。

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