本の引っ越し

4
4

「凄い量の本だね」
「いつの間にかね。ごめんね、本の引っ越しを手伝わせて」
叔母上の「床が抜ける!」との勅命で、貸しコンテナに本を移すのだそう。
「母さんたら聡君にまで迷惑を」
「いいんだ、それより、この棚全部がミステリなんだ」
「うん」
「僕に読めそうなのある?」
「もちろん!最初は、北村薫『覆面作家は二人いる』と加納朋子『ななつのこ』が良いと思う。あと…」
有栖川有栖、黒崎緑、倉知淳、はやみねかおる、東川篤哉、築かれる本の山。
「若竹七海は『名探偵は密航中』なら安全、変わり種で氷室冴子の『なんて素敵にジャパネスク』、少女小説のフリしたミステリだから」
結局、最初の二冊を借り事なきを得た。
「本を段ボールに詰めたよ」
「一箱にそんなに大丈夫?」
「平気さ」
あれ重い、けどカッコつけた手前、後には引けない。
腰を落とし、足の力も動員、気合で箱を…
上がった!
段ボ-ルの底が抜ける音と共に…
その他
公開:19/03/07 23:52
更新:19/03/11 19:10
難産であった なぜか400文字に収まらなくて

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容