No.140 涙と夕焼け…そして誰にでも来る朝

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「燃えるような恋がしたい」違う。

「この燃ゆる夕陽のごとく…」ぜんぜん違う。うーん…

悩みながら女優の卵Aは何度も何度も鏡に向き合いながら明日の舞台の演技のチェックを繰り返す。

実際は泣いていないのに鏡に映る自分の頬には幾筋もの涙が……。

観客に感情移入してもらえていないのは分かってる。

両親や友達が「良かったよ」と言ってくれるは同情なのも分かってる。

私には…できる。きっとできる。今一度、徹夜で練習を繰り返そう。

本番。「自分で自分を褒めてあげたいと思った私って誰?それはあなたです」

舞台の幕はその台詞で閉じた。今日もまばらな拍手だけでスタンディングオベーションはなかった。

楽屋の鏡に自分の全身を映すと窓からオレンジな太陽が写り込んで来る。

台詞を超えた凄く綺麗な夕焼けが彼女の頬と心を染め、泣き明かした朝焼け色の涙が別な私の分身を完成させた。

私の夢は実現する。今日
その他
公開:19/04/07 20:43
更新:19/06/15 20:24

ゆっち( 北海道 )

星新一さんを尊敬しています。ショートショートが大好きな気持ちは永遠です。
 

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