あわれとぞおもう

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「人に過ちを犯させるとは、なんと罪深い事か…」

流し台の上の棚、その片隅に、マグカップはあった。
フェルトペン、ボールペン、マジックなどが、無造作にさしてある。
つまりペン立てだった。
なのに、他の食器と一緒にキッチンに並んでいる。
ちぐはぐで、気になってしまったのだ。
家主である友人を問いただすほどには。

「お風呂上りのキンキンに冷えたコーヒー牛乳は、なぜああもおいしいのか、実に罪深い存在だよ。」
「要するに、入浴前に冷凍庫に入れたのを忘れて放置したために、凍結時の膨張に耐えかねたマグにうっすらヒビが入ったと。」
「だってさ、お気に入りで、いつも一緒に過ごしてきたと思ったら、捨てるのはしのびなくて…」

かくてマグカップは第二の人生を歩み始めたのか。

「でも、どうして台所においてあるのさ?」
「全部、書けないやつだからね、手元にあるとまぎらわしいでしょ。」
「捨てる。」
「いやー」
その他
公開:18/12/14 23:55
更新:18/12/15 10:29

誰か

心楽しい読書になりますように。

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