さらに嵐は吹き荒れた

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酷い嵐、叩きつける雨と風が窓を振るわせております。

この様な時に旦那様も坊ちゃんもお留守なのは、いささか心細くはありますが、家政婦である私は職務を全う…あ、電話がかかってきたようでございます。

「も…もし聞…える?」

「あ、坊ちゃん」

「土砂崩れ…帰れそ…にな…て」

どうやら、あちらは嵐の真っただ中のご様子、少々聞き取り辛いです。

「僕…心配な…、母さ……ど……てる?」

えっ、なんとおっしゃっているのでしょうか?

「か…さ…は、無事?」

か、さ?、あぁ留守中お預かりして…

「申し訳ありません。旦那様にはお伝えしたのですが、庭に出た際に強風にあおられ、折り悪く木の枝で大きく裂かれてしまい、いたる所の骨が折れ、もはや手の施しようのない状態に…」

「なんだって、そ…な、どう…たらい…んだ」

「ご心配には及びません。旦那様がすぐに新しいのを用意するとおっしゃっておりました」
その他
公開:19/02/18 18:21
更新:19/02/20 03:28
気づかれないと悲しいので ブラックな落ちじゃないんです

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