Result in tragedy ─貪婪骨董屋─ 八

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脅えた様に小さくドアベルが鳴る。随分経ってようやく姿を見せたのは薄汚れた少女。首に『パンを下さい』と書かれた板を提げていた。
「聾唖か…酷い母親だな」
少女の眼差しには、まだ僅かな光が残っていた。
「待ってな」
男は店奥に入り、パンを詰めた袋を持って戻る。
「必ず平等に分けるんだぞ」
彼女は二度大きく頷き店を後にした。

翌日また同じ娘が。
「私は分けろと言った筈だ。何故全部親に渡した。恐怖心か?自分の為に戦う意思は無いのか」
少女の目から大粒の涙が。見兼ねた子猿が一匹棚から降りてきた。
「君は…分かっていてもあの子を助けたいのか」
猿は健気に頷き、彼女の肩に乗る。
「彼は心の声を喋ってくれる」
泣き止んだ少女は店を出る前一度振り向き「有難う」と猿が呟いた。

数日後、子を虐待した魔女として母親が処刑された。孤児になった少女。路地で蹲る彼女の肩で、パンを下さいと猿が悲痛な叫びをあげていた。
ホラー
公開:19/02/09 12:34
更新:19/02/11 20:01

川勢 七輝

【貪婪骨董屋 概要】
人類最初の殺人カインとアベル。弟を殺害後、神に彼の行方を尋ねられるが白を切るカイン。しかし大地に残されたアベルの血が兄の罪を神に訴える。
カインは追放され、アベルの血は天界で守られる事となった。
時は流れ、人間達が神の声に耳を傾けず横暴な振る舞いを続ける頃。神の関心は地球から薄れつつあった。そして、アベルの血の守護役であった天使は、彼のお守りに飽きが生じ、妙な空想に取り憑かれていた。
「何故、アベルは兄の嫉妬心に一切気付かなかったのか。また、血だけとなっても神に訴える復讐心、執着心に罪は無いのか。この欲が諸悪の根源なのでは」
神の目を盗み、天使のいたずらが始まる。
 

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