No.74 安産型

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十月と十日で待望の第一子が誕生する。爺婆はまだ生まれてもいないのにオムツや肌着、ベビーカー等を買いあさっている。僕は冷静に仕事に励む。だって家族を養っていく身だから。

仕事は経理事務なので得意の暗算が役立つ。いつも天井を見上げブツブツ言いながら暗算する。電卓やPCは使えないが正確なので上司は褒めてくれる。

「ところでA君。まだ生まれないのか?」僕は素早く暗算し明日が予定日だと気づく。

「そういえば明日です。年休を取らせて下さい」「もちろんいいとも」

翌日も次の日も又次の日も生まれない。安産型と言われていたが、超難産だ。陣痛は来るがなかなか生まれてこない。医師は遂に、原因を突き止めた。

「あなたの奥さんは安産型だけど暗算が得意じゃないからこうなってしまった」僕は診断結果に天を仰ぎ呟く。

「十月と十日から何日たったんだ・・・・暗算できなくなっちゃった」その瞬間オギャー!という声が。
その他
公開:19/02/01 07:04
更新:19/02/01 07:14
夫婦の息が合った瞬間 生命が誕生する 命の神秘

ゆっち( 北海道 )

星新一さんを尊敬しています。ショートショートが大好きな気持ちは永遠です。
 

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