恋薬

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近所でも評判の仲睦まじい夫婦がいました。ところが近頃妻の方が塞ぎ込んでいる様子。どれだけ尋ねても妻は溜息をつくばかりなので、夫は困り果てていました。
ある日、妻が言いました。
「実は私は、貴方に内緒にしていたことがあるのです」
夫は、何だろう、と妻の手を握りました。
「私は、毎晩貴方の食事の中に恋薬を入れていたのです。私たちが仲良くしていられたのは、きっとその薬のおかげ。だけどもう、それも終わりです。恋薬は昨日で使い果たしてしまいましたから」
涙を流す妻に、夫は言いました。
「なんだ、そんなこと。大丈夫だよ。そんな薬がなくたって、僕の気持ちは変わらないから」
そうして夫は、妻を抱きしめました。

さて、二人はその後どうなったのでしょう。
夫の言葉は、真実だったのです。二人はその後も、仲睦まじく暮らしました。
なぜなら、恋薬が切れた頃、二人の間にあったのは恋ではなく、愛だったのですから。
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公開:18/09/21 02:58

哀愁亭

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