秋風と眼鏡

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「本なんて読んじゃって、どういう風の吹き回し?」

 背もたれを挟んで声をかけられた僕は、そっと彼女を仰ぎ見る。

「まあ、読書の秋って言うだろ。」

「ふーん、で、何を読んでいるの?」

 肩越しに彼女がのぞき込んでくる。

「ちょっ、近いよ。」

 言いながら、本を読むために外していた、眼鏡に手を伸ばす。

 その手を彼女がおさえた。

「おっと、眼鏡になんて邪魔させないから。」
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公開:18/09/10 22:02
更新:18/09/11 18:31
月の音色 ガラじゃないってわかってるから!

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