クリムト作「北オーストリアの農家」

3
56

「犯罪の匂いがする」

黄色い花が印象的な絵画の前で友人がのたまう。

「ほら見て、道がないだろう」

描かれているのは一面の花。

可憐さはあっても、ありふれてもいる。

「すなわち、道から外れて、木陰から人気のない農家の入り口を見張っている訳だ」

それでも満開の花が上も下もと言うのは、心動かされる光景かもしれない。

「犯罪者が潜伏しているとしか考えられない」

木陰でイーゼルを前にするには良い季節だろう。

「よしっ、お前は裏に回れ」

「それを実行するには壁があるな」

「本部に応援を頼もう」

「待て!」

戦慄を禁じ得ない。

「その本部とやらには、お前みたいなのが他にもいると言うのか」

「そっち!」

「もっと穏当な感想は持てないものか」

「気分良く浸れて良い絵だ」

ただまあ、と友人は農家の壁際を示して。

「ここにベンチを設えたくなる気持ちは、分からなくはないかな」
その他
公開:18/07/20 18:09
更新:18/08/23 22:03
落ちの意味は分かりましたか?

誰か

心楽しい読書になりますように。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容